ジャカルタ市内における交通事情
シンガポールでは仕事が多忙でして、ほとんど外出できず、交通事情等は解らずにおしまいとなりました。その次のインドネシアでは宿泊先のジャカルタ市内のホテル前が幹線道路であったために色々な風景を見ることができました。その時に猫の顔の感じた交通事情をお話します。
ジャカルタ市内は早朝の6時ぐらいから渋滞が始まります。朝のラッシュは午前中いっぱいまで続くようで、日中はそれでもかなりの慢性的な渋滞が続きます。夕方などは、もう手におえない状況でして、誰が信号を守っているのか、どの車が割り込んできているのか、誰が出遅れているのかはほとんど見分けがつかない状態です。その上、朝からクラクションの嵐でして、ホテルの前では「ピー」とか「パアー」とかのクラクションが常に鳴り響いています。
その中で特に興味深いのが、ASEAN諸国でよく見かける3輪トラックです。もちろん猫の顔はこの模範的モデルとなったダイハツミゼット、マツダK.360をリアルタイムで見ている世代ですが、これらの軽3輪車と酷似した3輪トラック、タクシーがごちゃごちゃと昆虫の様に街中を走り回っているのでした。
良く見ると、ボディの塗装が赤と青の2色しかありません。
現地の弊社の代理店の従業員(自身も2輪に乗る。タイKAWASAKI製125のライダー)に訊いたら、市内には2大巨頭の運送屋がいて、それぞれの会社のシンボルカラーが赤と青だそうです。
また、赤色のトラックは見ると2サイクルエンジンです。特に健康に悪そうな煙を申し訳程度のチャンバーからモクモクと吐きながら走っています。もちろん見た目通りのレーシーな排気音でして、アイドル中は80CCのモトクロッサー的な排気音がします。この排気音が運転手の熱き男のスポーツ心をくすぐるのでしょう。しかも無積載時には極端な前傾姿勢を保持しています。これはリヤサスの構造によるところが多いのでしょう。そのように勝手に想像していたら、先述の125ライダー君の説明では「原型はイタリアのベスパを使用している。製造はタイかどこかである。」とのことでした。そうでした。日本でも30数年前では村山モータースさんがイタリアから輸入していた「ベスパ製原付トラック」のコピー版でした。詳しくは当時の別冊MC誌の広告をお探しください。リヤサスにベスパの面影が残ります。昔のホンダのS600を彷彿とさせるリヤサス構造です。独立懸架ですので、左右のパターンが違うタイヤを履いても、そのグリップ力に差が出ても、確実に路面をホールドするリヤサス特性が運ちゃんのスポーツ心をこれまたくすぐるのでしょう。日本では「サファリの健脚」というのがありましたが、懐かしの「ハの字」リヤサスとともに、昔の日産自動車の4独サスを思い出してしまいました。
対して青の方は、ぐっとおとなしいジェントルな乗用モデルでして、これは格安のタクシーとのことでした。エンジンは排気音とマフラー形状からして4サイクルでした。またまた125ライダー君の話では「あれはLNGガスを燃料としているので非常に環境に良い。」とのことでした。本当の理由は「その辺掘ったらいくらでも出てくる安価なLNGガスを使っているだけ。」というところでしょう。レーシーな赤色モデルとは違いマッドフラップの装備が高級感を演出していて泣かせます。
また、2輪の二人乗りが非常に多い事も特色です。多くのライダーはマルシンとかクノー工業らしきヘルメットを装着していますが後部のタンデムはほとんどがノーヘルでした。この国で交通倫理が成熟するのにはあと20年は必要とするでしょう。
高温多湿のジャカルタ市内ではバッテリーには極度の疲労がかかるらしく、この3輪車たちのバッテリーが疲弊しているのがブレーキ時のクラクションの音色が電圧の変化で、半音変化する事でもうかがい知れます。クラクションを鳴らしながらブレーキを掛けると「ピー、プー」と半音下がるのでした。反対にクラクションを鳴らしながらブレーキを解除すると電圧が上がり「プー、ピー」と半音上がるのでした。ストップランプの23Wがバッテリーにはよほど堪えるのでしょう。もしくは発電系を点検する必要があります。また電解液の量と質には注意したいものです。結構な数のバッテリーが疲弊しているのをクラクションの音色で解るのが面白くて微笑んでしまいました。
最後にこれらの3輪車の運転手はほとんどがインドからの出稼ぎ労働者でして、インドネシアでは、まず他の職業にはありつけないので仕方なくこの商売をしているとのことでした。最後に少しだけ複雑な事情を味わってしまい、笑えなくなった猫の顔でした。
インドネシア代理店の駐車場にて、ほとんどがASEAN製の日本車コピーバイクです。また税金の関係上、150cc以下が圧倒的に多い。最近まで125ccまでだったのが規制緩和で150ccまでが税金が極端に安いシステムとのことでありました。
おしまい。

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