旧車屋巡りは一瞬の夢の如く?
先日、所用があり、東京は八王子方面へ出かけましたが、ついでにかの有名なウエマツさんへ立ち寄ることにしました。
この店は良質の旧車を数多く展示されているので、立ち寄ってみているだけでも楽しく、昔日の思い出が出てくるような旧車に出会えるのがメリットです。しかしながらいかんせん、相場が高く、おいそれと手が出せないのも事実というジレンマに陥るのが悩みです。
その中で、店先で発見した数々の旧車、珍車を、僭越ながら猫の顔の解説を添えてご紹介したいと思います。
まずはCB400Four
非常に珍しい黒の外装をまとった1台。どこの仕様かは知りませんが純正塗装と思われます。惜しいことにこの車の名誉である純正4into1のマフラーは社外品の集合管に換えられています。見たところ国内仕様であろうが、マフラーを除けばノーマルの姿態を残した1台です。エンジン周りも非常に綺麗な外観であり、金さえあれば?の夢を見てしまう車です。それにしても今見ると実に小ぶりな車体ですね。
その隣、スズキGS400E。長いリヤフェンダーがヨーロッパ向けを語る1台。加えて頑強なキャリヤの造りに注目されたい。80年前後に欧米で流行し始めたパニアケースを固定する枠組みが泣かせます。猫の顔の判断ではドイツ仕様と見ました。カラーリングも国内仕様とはちょっと違います。隣のノーマルとおぼしき黒のGS400と色々と比較されたし。
カワサキGT750
これは初めて見ました。たぶん81年ごろの車両。これも長いリヤフェンダー、頑強なリヤキャリヤと長距離走行に耐えるべくフロントフォークブーツがヨーロッパ仕様の証です。この車は、ご存じZ650のエンジンを使用していますが、見づらいのですが、ヨーロッパでの長距離走行を目指してリヤがシャフトドライブとなっていることが最大の特色です。GTとは名ばかりではなかったのです。
ところで通常のチェーンドライブをシャフトに変換するためのミッションはどのような構造になっているのでしょうか?つくづく考えさせられる1台でした。輸出用のカラーリングのタンクといい、希少な仕様といいヤマハのXJ750Eの向こうを張れる1台と言えるでしょう。当時の日本国内ではZ750FX-Ⅱですな。
スズキGT750
実に思い出深い2輪です。
猫の顔の限定解除の試験車両と全くタンクの車両でした。実際はフロントがダブルツーリードパネルのドラムでしたが、この車はWディスクが装着されたモデルに初期型の外装を装着したと判断するのが正解でしょう。
ラジエーター後ろの電動ファンが嬉しい装備です。3番シリンダー根元の背後に見えるのがSRISのバンジョーボルトです。クランクケース内に溜まった燃え残りの2サイクルオイルを、他の気筒に送り出す機構で、残り物の2サイクルオイルを他のクランクの潤滑に使用するといういかにも日本的な発想のメカニズムです。フル加速時にはものすごい煙を吐きます。
立派なキックアームが付いています。これだけでも昔のナナハンは貫録があったといえるような装備です。
しかしながらこのGT750の特徴はリヤブレーキにあります。ノーマルはワイヤー式のドラムでしたが、この車は何とディスクブレーキなのです。たぶん後発機種のGS750のリヤブレーキ周りを移植したと思われます。ドライブチェーンのセンターは合致しているのでしょうか?こっちが心配してしまいます。いずれにせよこれも実に美味しい旧車であり、40年以上前に中学生のときにむさぼり読んだMC誌の国産車アルバムの1ページが脳裏に思い出てくるのでした。この店先で実車をみてから2秒以内で、仕様を瞬時に的確に思い出す私の脳みそは、完全にイカレているのでしょう。現在の2輪は何を見てもわかりませんがこういう車両は瞬時に反応するわが身が恐くなるのでした。
いやあ、この店で夢を見ていました。40年前のタイムスリップに恍惚としている目前に現れたのは、ホッとする、ノーマルのCB750Fourでした。
国内向けのK1と拝見しましたが、これも実に綺麗なコンディションを保っております。
シート後半の左側のタンデム用のグラブバーが懐かしいです。71年ごろまでのホンダ車に見られた装備です。250や350ではもう少し73年ごろまで装着されています。750ではK2になるとシートのリヤを1周するタイプです。ノーマルCB750Fourの姿態が嬉しいのを見て、やっとのことで夢から覚めた猫の顔でした。全国3万人の読者の皆様にはこういった夢を見てしまうことはないのでしょうか?実にあぶない症候です。
本当は店の中に入って、ドシロウトを装い、店員のお兄さんとバトルをするかな?とか思っていたりしたのですが、金もないくせに、店の雰囲気を壊すようなことは「栄えある限定解除取得ライダー」はしてはいけないのでした。冷静を保つことができるのも、静かなる男のマシンであるCB500Fourの末裔のCB650に乗るライダーとしての条件なのでした。
それにしてもこういった店にいって心を躍らせ、懐かしい旧車に出会えて喜ぶ猫の顔は、実にいけない、実にはかない狂おしい甘美な夢に心を溶かせて酔っていたのでした。
いつか、快晴の高速道路のSAで、違いが解る濃いライダーとの語らいを夢見ながら。
ピース!

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