ぼくのCB650再生日記 No.4
昨夜は友人のタロー君といつもの向ヶ丘遊園の居酒屋で検問したのである。
タロー君は、フォークオイル、エンジンオイル等の油脂類の交換、ブレーキのエア抜きと快調にぼくのCB650の車検取得に協力してくれるのはありがたかったが、しかし、どうも彼はぼくのCB650を、あちこちで乗り回しているようだが、文句はあまり強く言えない立場を思い出し、こんな初歩的なホンダの四気筒のウンチクを知らなかったのか?言わんばっかりに語って、ぼくの溜飲は下がったのだった。
彼は、「あれはもしかしたらナナハンよりも、力があるかも知れん。カーブ曲がってセコで加速するとリヤタイヤが左右に振れる。トルクあるなあ!」
と、オーナーを差し置いて、まるで新発見をしたように語るのであった。そうであろう。ヘビーウェイトを鬼トルクで押す様な旧態依然とした設計思想では無く、引き締まった車体を適正トルクでシャープに引っ張るのが、CB650の身上なのだ!バランスの良さがこのマシンの売りなのだ!と、200m位しか試乗していないぼくが言うと、多分ケンカになるだろうし、自分の単車の面倒を見てもらっている身分では、さすがに言えなかった。
「そんなこと無いだろ?君のCBナナハンは、僅か2000回転で、その前のホンダの旗艦のCB450の最大トルクを上回る4㎏m以上のトルクを発揮する前代未聞のエンジンだったのだから、650の方が力があると感じるのは間違いでは無いかなあ?」
と、相手の単車を誉めちぎり、口先だけのヨイショをした。
本心は「当たり前じゃないか!俺の究極の単車に欠点があるわけが無いだろ!」
と、心の中で、彼の顔面にパイを投げつけた。
彼も久しぶりにぼくの二輪に対する熱いウンチクに驚いた様なので、ここは、一発、素人相手に赤子の手をひねる様だが、ぶちかましてやれ!とホッピーと共に気負ったぼくは、CBナナハンの開発ストーリーの一部を熱く彼にぶちかましたのであった。
曰く、欧米、特に北米での二輪車の売り上げが思うように伸びない事、いつまで経っても憎きトライアンフや、ハーレー等の重量車を駆逐でき無い事に腹を立てていた、というよりは、本当はCB72、77系はかなり売れた日本であるが、欲の深い(失礼!)本田宗一郎氏が、更なる一撃の新型の二輪車で北米マーケットを席巻する夢を見て発売したのがCB450である。ところが、当該CBヨンハンを持ってしても欧米重量車の牙城は崩せず、むしろ、「CB77より少し早いだけの二輪車」という評価を得ただけで終わってしまうのである。いよいよ業を煮やした本田宗一郎氏は、銭ゲバとなり(失礼!)完璧に北米マーケットを占有できる二輪車の開発に社内にZ旗を掲げ、CBナナハンの開発を進めたのは有名な話である。
果たしてその四気筒は、僅か2000回転でCBヨンハンの最大トルクの3.8㎏mを上回る4㎏mと、最大トルク 6.1㎏mを誇る名機となったのである事をホッピーの力も借りて一気に語るぼくを見た彼は、
「お前、それをあぶら点検窓に書けよ!」と宣うのであった。
ぼくにとってのホンダは、世界最高の二輪車メーカーでなくてはならないのであり、これほどまでにホンダのSOHC四気筒を知り尽くした(もちろんウソっぱちです!)ぼくが、究極の二輪車としてやっと入手したCB650を軽々しく勝手に乗る彼に、二発めのパイを投げつけたのは、俺の究極の二輪車を俺より先に味わうんじゃあねぇ!と腹の中で思ったからである。ようやく完璧に溜飲は下がったのである。
その後、ホッピーが余計に旨かったのは、単にホッピーのせいだけでは無い事を声を大にして言いたい衝動に駆られるぼくであったが、親友のタロー君とは何事もなかったかのように帰路に着いて、CB650にふさわしくジェントルに別れたのであった。
いやぁ、もう少しで究極の二輪車としてCB650との日々が待っている。 この嬉しさを何と例えたらよいのであろうか?
熱き日差しの下、コーラを一気に、煙草を吸いながら、海岸線の駐車場でピース!
執筆 猫の顔

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