お台場旧車天国に参加して
まずはカワサキ650W1S。
全体としてよくぞ当時モノの部品を良く残した1台であるが、どういうわけかフロントのブレーキパネルがW1SAの左パネルに変更されている。本来は右パネルであるが、次期モデルのW1SAで停車中の雨水の侵入を防ぐために左パネルに変更されたのである。また代表的な歯切れのある豪快な排気音を奏でるド鉄のキャブトンマフラーも最終型のW3のもの(形状が長く消音効果が高い、静かな排気音がする。)に変更されている。しかしこのスプリングシートは長時間のライディングでも疲れを出さない逸品であり、純正のままで装着されているのはやはり嬉しい限りである。このシートの裏には無数のスプリング(バネ)が前後方向に設置されている。
W3からは食パンのようなスポンジシートになる。言わずと知れた右チェンジ(英国式といいます。)が乗る人を選ぶ1台。この後のW1SAでは左チェンジ(ドイツ式といいます。)に変更されて、ぐっと売れ出したのは有名な話である。Yケースの文字に赤色の筆さし塗装がオーナーの愛着を感じさせて泣かせる1台。
ウインカーはW1S特有の卵型ウインカー。この前のモデルのW1では、円柱型の前後レンズ式のウインカーである。
スズキGT750
再初期モデルである。この最初期には3色存在するが、それぞれ「キャンディレッド」、「キャンディゴールド」、「キャンディブルーグリーン」と先発のCB750と同様の3色の純正塗装であったことはマニアなら知らなくてはいけない事実である。カタログではタンクストライプの違うモデルが最初期には存在する。ヘッドライトリムの下端が水平にデフォルメされた馬蹄形ヘッドランプが懐かしいモデルである。「大いなる余裕」とはまさに白眉のコマーシャルコピーである。このようにヘッドランプステー、ヘッドランプボディまで丁寧に車体色と同一の塗装をしているのが70年代初期の2輪の特徴である。
どうして現在はここまで塗装しなくなったのであろうか残念である。
ヤマハYZ250
空冷のモトクロッサーである。「空飛ぶサスペンション」といわれたモノクロスサスを装着する寸前のモデルであるので、多分72年モデルであろう。モノクロスサスは73年の全日本選手権でデビューしたのである。タンクの固定にバンドを用いる手法はこの時代のヤマハ車の特徴である。リヤサスのオイル容量を増大せしめるために黒い筒のような補助タンクが設置されているのに注目。対するホンダのエルシノアCR250Mはリヤサス下部のアルミボディーに冷却用のフィンを装着していたのだから、オイルの粘度低下には各社ともに知恵を絞っていたのであろう。
ホンダCB72
これまた珍しい「Y部品」と呼ばれたキットパーツを装着したモデル。ステップの後退具合に注目されたい。後退したステップに適合するようにシフトリンクの部品も、リヤブレーキワイヤーも「メーカー純正部品」として発売されていたのであるから古き良き時代であったのである。
赤のカラーリングのCB72の「もっこりシート」もY部品で純正部品である。よくぞ残っていたものである。
CBXとZ1300
国産6気筒のそろい踏みであるが、冷却方式の違いによりZ1300のエンジンがよりコンパクトに見えるのは仕方がない。対してCBXの、排気系の「豪華な楽器のような造形美」は見事である。いずれにせよ2度と発売されそうにない2台であるのでオーナーは大事に乗られたいものである。Z1300のカラーリングは最初期モデル思われるが、強制開閉のアクセルワイヤーが下向きに装着されているのは、他車からの部品の流用と思われる。本来はたけり狂ったように2本ともに上に向かって伸びている。またヨーロッパ向けの27リットルタンクの装着が、巨躯を更にイメージアップしているので非常に好感がもてる1台である。
来場者のほとんどが4輪であったので、ちと心残りであったが、全体としては「げっぷが出る位」の2輪と4輪の旧車に出会えたので満足した1日であった。ちなみに我がCB650は他には参加していなかった模様である。

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