タコメーターについて
およそタコメーターほど、乗り手のハートをくすぐる計器は無いであろうし、私こと、猫の顔はタコメーターの無い2輪車には乗る気がしないとすら思うのである。
自身の右手に忠実に反応するエンジンの回転数を即座に答えてくれるのであるから、その針の動きは痛快この上ない物である。
昔の60年代の2輪車には、大型排気量車、高級車しか装着されておらず、天下のW1Sでさえ、単眼式のヘッドランプボディに内蔵されたコンビメーターであったのである。CB72も単眼式のコンビメーターでした。
また小排気量車には特に装着されておらず、レジャーモデルでの装着車両は、バンバンの125のみと記憶している。
いわゆる125ccまでの小型車両では、ロードモデルでは早くから装着されていたが、オフロードモデルでは、特に90ccクラスは冷遇されていた気がする。昔の愛車のベンリィSL90Kではタコメーター装着が嬉しくて、乗るのが楽しくて仕方がなかった。
なお、街中で垣間見た、HT90やハスラー90、DT90には装着されていなかったので、心の中で喝采していたものである。
50ccでの特筆は、ヤマハのGT50、MR50の最終に近い型の装備である。モノサス、タコメーター装備であるので特にGT80あたりは、のっていても楽しくて仕方ない幸福感であろう。その意味ではヤマハの小排気量車に注いだ熱意は特筆であるのと、現在でもコレクターの間でも、同車は人気車種であることは理解できる。
タコメーターの動きで忘れられないのが、もう四半世紀も前にみた「CB750Four-K2」のチューニング車両の吹け上がりである。
現在で記憶しているチューニング内容は、ボアアップで860ccだったようなことと、ヨシムラのステージⅡカムシャフト、発電ジェネレータの軽量化だったと思うが、暖機後のタコメーターの針の動きが、昔のストップウオッチの秒針が戻るときの動きであったのである。
ご理解いただけるだろうか?純正のタコメーターは機械式であり、結構モッサリと動くが、それが「ウワーン、ウワーン」との吹け上がりに対して完全に遅れて動いているのである。軽くアクセルをひねるだけで、軽くレッドまで回りきるエンジンには驚いたものである。あのような吹け上がりは発売直後のFZ250の試乗会で見た風景と2回しか記憶がない。恐ろしいような吹け上がりであった。
その吹け上がりを示してくれるのがタコメーターであり、その針の傾きの興奮度は、デジタルメーターの比ではない。
我がCB650にも豪華なメーターパネルとタコメーターがあるが、現在はエンジン内の部品待ちで乗れない状況であるのが残念である。
梅雨明けには何とか修理して、夏休みには、颯爽と信州の山道をタコメーターの針とともに走り回りたいものである。
おしまい。
